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[読書] MBAクリティカル・シンキング

#クリティカルシンキング #要求分析

📕 読んだ本

改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング

💪 モチベーション

  • 『エンジニアリング組織論への招待』の「1-4 論理的思考の盲点あたり」との関連があり、そこを掘り下げる形
  • 会社の方からもオススメ。クリティカルシンキングを心得ておくとよいですよ、と。
  • 『イシューからはじめよ』とどちらを読むか迷いましたが、明確にクリティカルシンキングを銘打っているものを読むことにしました。

🕐 かかった時間など

  • 2022/8/31 〜 2022/9/21
  • 7時間くらい

😄 ざっくりと理解したこと

序章

  • 考えることの重要性
    • 他人を批判するのは簡単だが、自身を客観的にふりかえるのは難しい
  • クリティカルシンキングとは、「ビジネスパーソンが仕事を進める上で役立つ健全な批判精神をもった客観的な思考のこと」
    • ロジカルシンキングとの比較:論理的な正しさだけでなく、客観的・メタ的な視点が重要
  • クリティカルシンキングの3つの基本姿勢
    1. 目的はなにかを常に意識する
    2. 自他に思考のクセがあることを常に意識する
    3. 問い続ける
  • クリティカルシンキングの3つの方法論
    1. イシューを踏まえた上で考える枠組み(5W1H、4Pなどのフレームワーク)を考える
    2. 正しく論理を展開する(演繹法、帰納法を意識)
    3. 構造とメカニズムを把握する

第一部. 思考をまとめ、メッセージをつくる

  • ビジネスにおいて、考えや文章が論理的であるといえるには、以下の3つの条件がある
    1. そもそも何を考え、論じるべきか(イシュー)が正しくおさえられている
    2. イシューにこたえるために問うべき論点(枠組み)が漏れなくおさえられている
    3. イシュー・枠組みに正確に答え、適切な根拠で支えられている
  • 上記3ステップを頭の中だけで抽象的に考えるのは難しいので、ピラミッド型に整理していくとよい=ピラミッドストラクチャー
    • ビジネスでは立場が上になるほど、自分の主張や考えを求められることが多くなる。自分なりの主張を思いつきでなく、説得力があるたちにする必要がある
    • ピラミッドストラクチャーを使った説明のメリットは、本人が論理の妥当性をチェックしやすくなることと、相手がどんな理論でその論に至ったかが理解しやすくなること
    • 論理をピラミッド型に構造化するステップ
      1. So What?(だから何?)を問いかけ、メッセージを抽出する
      2. Why?(なぜ?)True?(本当に?)を問いかけ、論理が成立しているかチェックする
  • 演繹的思考、帰納的思考の盲点
    • 演繹法は、「ルールや一般論」と「観察事項」から結論を導く方法
    • 帰納法は、観察されるいくつかの事象から共通点を見出し、ルールや結論を導く方法
    • 演繹的・帰納的思考は、自然におこなわれているが盲点が多いので、犯しやすい間違いのパターンを意識するとよい 1. 間違った情報
      • 演繹法、帰納法で、そもそも誤った情報をつかってしまう 2. 隠れた前提
      • 演繹法での「ルールや一般論」に当たる部分を省略したときに、受け手には論理が飛躍したように見える 3. 論理の飛躍
      • 蓋然性(起こる可能性)の低い命題を繋ぎ合わせて論理展開してしまうなど 4. ルールとケースのミスマッチ
      • 演繹法での「ルールや一般論」がその場合には適用できないのに当てはめてしまう 5. 軽率な一般化
      • ビジネスの場合は、科学論文のように真理を追求するわけではないので、少ないサンプル数で結論を出すことを要求される
      • 大抵の人であれば納得できるものであるかが目安になる 6. 不適切なサンプリング
      • 取り出したサンプルが前大集合の代表としてふさわしくないものになっている
  • 論理展開には、人のクセがある「言い切れない病」「一足とび病」「諦めが早い病」。自分のクセを意識する

第二部. 状況を分析する

  1. 構成要素に分解する
    • MECE:漏れなくダブりなく。ロジックツリーやマトリクスをつかう。ただしこだわりすぎる必要もない。
    • 切り口
    • 切り方:切り口を「年代別」としたときの、その範囲の区切り方など。その区切り方にすることの意味を考えておく必要がある
  2. 分析対象を多面的に捉える
    • 特徴が現れるのは、1つと限らない。いろいろな切り口、切り方で多面的に捉えると良い。
    • 良い切り口・切り方は、分析の目的に合致するかどうかもポイント
    • 仮説とセットで、切り口・切り方を考える
  • 全体と構成要素それぞれの特徴・傾向をつかむための視点
    1. 全体の構成と構成要素のバラつき度合いを把握する
      • 各要素が特定の部分に偏っていることが発見できると、この偏りがなぜなのかを考えるときに新たな切り口・切り方ができることがある
    2. インパクトの大きさを考える
      • 解決すべき問題、解決策を実行した後に得られる効果の大きさを考える
      • 経営資源と時間が有限である以上、目の前の問題解決よりも全体の利益を考える必要がある
    3. 比較して差分を見つける
      • 目標値やベンチマークと比較して、差分(絶対値の差、割合)を理解する
      • 時系列で比較して、差分(絶対値の差、成長率)を理解する
    4. 法則性と特異点、変曲点を見つける
      • 特異点とは、ルールやパターンとは違う要素を見つけること。その原因を探ると、ビジネスチャンスに結びつくことがある
      • 変曲点とは、これまでのルートやパターンが変わり始める時点のこと。変わり始めた要因は、前述の通り多面的に捉える必要がある
  • コラム:分析思考と統合思考
    • 分析思考は、変動の小さい世の中であるときは、時間をかけて分析できるので強い
    • 統合思考は、分けた結果から何が言えるのかまとめ上げること
    • 変化の激しい世の中では、曖昧さを許容して統合思考を強め、さまざまなアクションをスピーディーに行っていくことが重要
  • 因果関係の把握
    • 因果関係といえる条件
      1. 時間的順序が正しいこと
      2. 相関関係が存在すること
      3. 第3因子が存在しないこと
    • 頭の中だけで問題の構造を描ける人は極めて少なく因果関係をはっきりさせることはかなり難しい。因果の要素を図にして把握することに大きなメリットがある
      • 問題の全体像やメカニズムを把握できる
      • 原因を高次的に遡ることで、根本的原因や本質がわかることがある
      • フィードバックループ(好循環、悪循環)を見つける
    • 因果関係の把握で陥りがちなアンチパターン
      • 直感による判断
      • 第3因子による見落とし
      • 因果の取り違え
        • 因果が循環参照になっているとき、原因と結果の矢印を逆に理解してしまったり、単一方向の因果と認識してしまう
      • 最後の藁
        • 海外のことわざ。いままでさんざんラクダに重い荷物を持たせておきながら、最後に載せた藁のせいでラクダが倒れたのだという話
  • 手段と目的は、未来におこることの因果関係を逆算して捉えたもの
    • 目的のために手段を考えるときに、因子として手段が有効かを考えるべき
    • 目的への因子として、手段が有効にならない以下のアンチパターンがある
      • 真の目的が共有されない
      • 手段の目的化
      • 予期せぬ副作用(アメリカの禁酒法の事例など)

補論:仮説と検証

  • 仮説をたてる
    • イシューと枠組みから問いをたてる
    • 仮説を裏付けるデータを取るのには時間がかかるため、どのポイントを抑えたらある程度検証されたと言えるか」という大枠を検証前に考えておく
    • 仮説を立てると確証バイアスがかかりやすい。都合のいいデータばかりを集めやすくなるため、反証になりそうなものがないか客観的に考える
    • 立てた仮説が因果関係の構造とともに説明できるとかなりの説得力がある
  • 良い仮説=イシューに対して意味のある仮説
    • 新奇性、独自性があること
    • イシューからのズレがないこと
    • 具体的な行動・意思決定に役立つこと
  • 検証する上でのアンチパターン
    • ファクトを集めすぎてしまう。ピラミッドストラクチャーを考えるなら支える柱は多くても4、5本
    • 精度を厳しく求めすぎてしまう
    • 情報収集の落とし穴
      • アンケートやインタビューでは最近起こった思い出しやすいものが反映されやすい
    • 解釈、判断の落とし穴
      • 代表性ヒューリテック:ありがちだと思われることを実際に起こる確率よりも大きく評価してしまう
      • 確証バイアス:仮説にマッチしたデータしかみえなくなる
      • 正常性バイアス:異常がおこっているのにそれと認識しない

🎉 感想

  • (意外と?)面白かったです。こういうビジネス書の論理思考とかいいつつ自己啓発的な本は多くて避けがちでしたが、ちょっとテイストが違いました。
  • たしかにな〜と思いながら、自分の仕事のやり方のダメなところとかを考えさせられるなと
  • 「何も考えずに仕事に取り組む」とそうでないことの違いをうまく表現されている感じがしました。
  • クリティカルシンキングは、自分の考えをまとめるためのツールとしての側面と、他者との理解を共有するためのツールの側面があるなと。本書はどちらかというと後者の面が強め印象なのですが、これを意識するうちに自分の考えもまとまってくるような
  • 「ネガティブケイパビリティ」という言葉がちょっとバズっているように、変化の激しい世の中でちゃんとした厳密な分析ばかり求めているとうまく適用できないで、ある程度のところで許容する力が重要というのは面白く、会社で実現するの難しそうだなと思いました。

🔭 今後の展望

  • 定期的に復習したいですね。
    • 今回やはり、感想記事を書いて復習するのは、単純に反復することで忘れにくくしたり、捉え直しができるのでよいなと思いました。
  • システム開発では、なんらかの課題を解決するためにつくるので、要求分析とかにかなりのつながりがあるように思います。うまく活かせるようにしたいなと。

最終更新日: December 31, 2022