[読書] 問いかけの作法
読んだ本
問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術 |
モチベーション
- fukabori.fm #65, #66 で本書の著者である安斎勇樹さんが出演されていたのをきっかけに知りました。
- 「問いかけ」の重要さはこれまでのスタディでも度々出てきたように思います。
- クリティカルシンキング でも、3つの基本姿勢に「問い続ける」というのがありましたし
- ジョブ理論 でも問いかけが大事というのから始まり、「なんのジョブを片付けるためにその商品、サービスを雇用するのか」というのが常にテーマでした。
- メンタリングの文脈(エンジニアリング組織論への招待)でも、メンターの問いかけにより、メンティの思考の幅を広げることができるということで、どんな問いかけをするかというのがとても大事ということがわかりました。
かかった時間など
- Audibleで聴きつつ、物理本で復習という形で読みました。
- なのでスタディプラスの記録を取っておらず、トータルで読書にどれくらいかかったか、わかりません。参考にならずすみません。
- Audibleだけだと、流れしまってなかなか自分の思考として噛み砕きにくかった感じで、物理本も買った形です。
理解メモ(復習)
第1章. チームの問題はなぜ起こるのか
- 日本ではファクトリー型の開発が磨かれてきたが、もう一度前提を問い直し、ワークショップ型で進めることがVUCAの時代にはマッチする
- 現代病1:認識の固定化
- 現在病2:関係性の固定化
- 部分的に分業したときに、対してお互いを理解していなくても分業できることが返って、関係性の固定化につながった
- 現代病3:衝動の枯渇
- 学校教育で文化的に同調圧力が強く、関係性が固定化する環境になっている
- 現代病4:目的の形骸化
- 人間はそもそもの目的を理解しなくても作業できる能力がある
- 現代病を意識しながら個々のこだわりにフォーカスした問いをたてるべし
第2章. 問いかけのメカニズムとルール
- 「なぜ問いかけに工夫をこらす必要があるのか?」
- 問いかけによって、相手の反応が変わり、相手の反応を引き出せるから
- 未知数を減らす「ライト」だから
- 相手の感情を刺激するから
- 意見を引き出す4つの基本定石
- 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
- 適度に制約をかけ、考えるきっかけをつくる
- 遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
- 凝り固まった発送をほぐし、意外な発見を生み出す
- 問いかけのサイクルモデル
- 見立てる → 組み立てる → 投げかける
第3章. 問いかけの作法①:見立てる
- まずチームの状況を丁寧に観察・分析することで仮説を立てるのが「見立てる」
- メンバーがどのような心情なのか
- 頭のなかでどんな葛藤を巡らせているのか
- チームのいまの空気はどのようなものか
- なぜ誰も発言していないのか
- この盛り上がりは何を意味しているのか
- なにが「こだわり」でなにが「とらわれ」なのか
- チームの本来あるべき姿とは?
- 観察するときの大量の情報 → ラベリングしてフィルターする技術を磨いていく必要がある=未熟なうちは難しい
- 観察を支えるガイドラインとしての問い
- なにかにとらわれていない?
- こだわりはどこにあるか?
- こだわりはずれていないか?
- なにかを我慢してはいないか?
- 着眼点①:何かを評価する発言
- なにかを評価する発言には、その人の価値観が現れる
- 着眼点②:未定義の頻出ワード
- 使われているキーワードがどのような定義で使われているかに着目する
- 着眼点③:姿勢と相槌
- チームに「必要な変化」を見定めるための、三角形モデル
- 見たい光景 ー 場の目的 ー 現在の様子
- 事前に会議の目的や、チームが向かうべき方向を調べておき、ミーティング中に見立てに活かす
第4章. 問いかけの作法②:組み立てる
- 前提
- チームにおける立場や役職を考慮する
- もともとの自分のキャラや芸風に合わせる
- 手順
- 未知数を定める → 見立てのときにやったことを参考に
- 方向性を調整する → 「主語」と「時間」2つの軸で方向性を調整する
- 制約をかける
- トピックを限定することで、思考を焦点化する
- 形容詞を加えることで、内省と対話を促す
- 探索の範囲を指定して、過度な発散を防ぐ
- 答え方を指定して、発散と収束をサポートする
- 「フカボリモード」
- チームの暗黙の前提、共通の価値観、一人ひとりの考えていることの解像度を上げる
- 素人質問
- ルーツ発掘
- WhyとWhenでストーリーを掘り下げ
- こだわりが発露しやすいポイント
- 基準の高さ
- 過剰な投資
- 違いの識別
- 怒りのツボ
- 偏愛対象
- 違和感
- 真善美
- 根底にある哲学的な価値観を探る質問
- 「ユサブリモード」
- パラフレイズ:別の表現に言い換え
- 例える
- 数値化
- 動詞化:名詞を動詞を使った表現にあえて直して問いかける
- 禁止:特定の言葉の使用を禁止して表現してもらう
- 定義:改めて、定義を聞き直す
- 仮定法:もし〜だとしたら
- 立場の転換:もし〜の立場だとしたら
- 制約の撤廃
- 架空の物語
- バイアス破壊
- バイアス破壊と仮定法をあわせ技で
- パラフレイズ:別の表現に言い換え
第5章. 問いかけの作法③:投げかける
- 注意を引く技術
- 事前に「予告」することで心の準備をしてもらう
- 相手に「共感」することで武装を解除する
- 質問の前に、前提を大げさに強調し、相手を「扇動」する
- あえて「余白」をつくることで質問に惹きつける
- 問いかけのレトリックの3つのタイプ
- A:光の量を足すタイプ
- 倒置法:語順を逆にすることで前提を印象付ける
- 誇張法:大げさな表現でフォーカスポイントを作る
- 列挙法:具体的な単語を並べて、質問の抽象度をカバーする
- 対照法:対を成すメッセージを添えて、質問を際立たせる
- B:光の色を変えるタイプ
- 比喩法:別のものに例えることで、イメージを豊かにする
- 擬人法:人間に見立てることで質問に感情を込める
- 共感覚法:五感に関する表現で、感覚を刺激する
- 声喩法:オノマトペを足して、質問を情緒的にする
- C:光を和らげるタイプ
- 緩叙法:二重否定を使って、直接表現の印象を操作する
- 婉曲法:露骨にネガティブな表現はオブラートに包む
- A:光の量を足すタイプ
- 問いかけのアフターフォロー
- 前提を補足する
- 意義を補足する
- ハードルを下げる
- 手がかりを渡す
- リマインドする
- 組み立て直す
感想
- 「質問する」という漠然としたものがきちんと理論立てて整理されていて、かなりためになる実践的な本でした。
- 構造化されていて、よく分類されているので、やはりAudibleで聞き流すだけでは整理しきれなかったので、本を買ってよかったです。
- 実践で身につけていくしかないものではありますが、指針をもって問いかけを考えることができそうです。場面ごとに何度も読み返したいですね。
最終更新日: May 7, 2024